2009年4月より2010年3月までほぼ1年間イランに滞在し、本研究課題にかかわる史料、とりわけコルデスターン州の州都サナンダジュにあった旧家ヴァズィーリー家にかかわる史料の収集にあたった。その多くが、不動産関連文書であり、農村社会の実態を知る上で貴重な手がかりとなると思われる。調査を行ったのは、下記の機関である。 テヘラン ・国立公文書機構・図書館:ヴァズィーリー家に関わる文書群、とりわけ土地売買、宗教寄進、土地をめぐる紛争などにかかわる文書や、同家が所有する農村の住民による嘆願にかかわる報告書などを収集した。 ・宗教寄進・慈善庁:ヴァズィーリー家にかかわるまとまった文書が移管されていることを確認できた。 テヘラン大学中央図書館:カージャール朝末期に作成きれた、サナンダジュにかかわる法廷台帳を複写した。 サナンダジュ ・文化遺産局コルデスターン州支部:ヴァズィーリー家に関する文書群1000点以上が画像として保存されていることを確認し、この画像を複写した。 ・宗教寄進・慈善庁コルデスターン州支部:サナンダジュにおける宗教寄進にかかわる文書数点を閲覧・複写した。 ・イスラム指導省付属図書館:ヴァズィーリー家に関する文書群数百点を複写した。 これら公的機関以外での史料収集のほか、ヴァズィーリー家を含むサナンダジュにかかわるいくつかの名家と接触し、情報の収集に当たるとともに、コルデスターン州やその近辺で農村部の景観の調査を行った。
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