2009年度の研究は資料調査と収集、研究発表を行なった。 資料調査は、主に北京大学図書館、北京市档案館、東京大学東洋文化研究所、東洋文庫、早稲田大学等の機関の北京関連の絵、図、および写真、映像に対して行なった。 研究は、主に18世紀から20世紀前半にかけての北京の景観と住民の日常生活に対して行ない、国際学会の報告、論文、調査報告としてまとめている。 (1)「18世紀における北京の景観と住民の日常生活-康煕六旬『万寿盛典図』を中心-」(2009年8月28日、中国貴陽、第三回中国近代社会史国際シンポジウムの報告)は画像資料を駆使し、北京の一部地域の景観を立体的に再構築した。この作業は伝統中国都市史研究の中には始めての試みである。 (2)「胡同」(『伝統都市』4「分節構造」、東京大学出版会2010年出版)は、今まで18世紀以来、北京における住民の日常生活をゴミ処理等の側面から捉えて、民間のゴミ処理システムの成立とその市場秩序を明らかにした。 (3)「18-20世紀の北京における下水道・糞尿処理にみる公共観」(『東アジアにおける公共性の変容』、慶応大学出版会2010年出版)は、都市のライフラインと公共領域、市政の側面から下水処理と市民の日常生活との関係を考察した。 (4)「20世紀北京前門地区居民的歴史記憶調査(一)」(陳捷と共著、『人文社会科学研究』NO50、早稲田大学、2010年3月)は、北京の日常生活のイメージを描くために20世紀における住民の歴史記憶を現地調査した。
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