1.本年度はまず研究計画に基づき、6月2日に静岡県三島市の日本大学国際関係学部で解された軍事史学会第24回年次大会で「南京国民政府時期の陸軍大学校の組織機構および教学内容」と題して個人発表を行った。陸軍大学校に雇用された外国籍教員(主にドイツ籍)の人名や教育科目を整理した。師団単位の作戦運用を目指した教育内容であると結論づけた。 2.陸軍大学校長と教育長を務めた楊杰の講演原稿を以下の題目で発表した。この史料は北京の人民大学図書館旧書部に保存されている。複写とデジカメによる写真撮影も禁止だったが、今回の研究テーマと関連するために翻訳して解説を附した。「楊杰講演『国防講話』解説と翻訳」(立命館東洋史学会『立命館東洋史学』第35号・2012年7月) pp.75-126 3.以下の論考を発表した。鄧演達と将百里に比べて楊杰関連の資料と研究論文・研究書は少ない。『文集』が出版されていないことも研究が進展しない原因である。この点について、一昨年度に雲南省昆明で訪問インタビューした楊徳慧女史の記録を使用しながら論じた。{近代中国における歴史人物評価をめぐって-鄧演達、楊杰、蒋百里の生涯から考える-」(『鈴鹿国際大学紀要 CAMPANA』NO.19,2012 2013年3月)pp.21-35 4.元来の資料調査地を四川方面に想定していたが、日中関係の悪化と資料の公開状況を考慮し、年度末に大連図書館と旅順の実地調査に変更した。旅順の日露戦争戦跡を調査したのは『陸大月刊』にも日露戦争をテーマとした論考が存在するためである。大連図書館の古籍部の貴重図書(満鉄図書館関連書籍を含む)は残念ながら閲覧することはできなかった。
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