研究課題
今年度は、ヨーロッパにおける「知の歴史」の系譜を辿る上で重要な位置を占めるヴァンサン=ド=ボーヴェ編著『大いなる鑑(Speculum Maius)』の構造分析を進めていく上で、デジタル化されたテキスト・データベースがどのような応用可能性を持つのかという点について、研究史の整理と分析ツールの検討を行った。検討の結果明らかになったのは、以下の諸点である。①ナンシー大学の「ヴァンサン=ド=ボーヴェ研究会」が進めている<Sourcencyme>プロジェクトは、『大いなる鑑』を始めとする中世百科全書テキストのTEIコーパス作成プロジェクトであり、このデータベースの活用により、百科全書作者たちの引用の具体相の解明、そして中世の知的エリートたちによる知的財産継承様態の解明につながる可能性があること。②オーストラリアのモナシュ大学が開発した「剽窃検出プログラム」<Damocles>は、中世百科全書における他著作からの引用箇所の検出、引用傾向の分析に有効であり、上記<Sourcencyme>プロジェクトが構築するデータベースの分析ツールとしての活用が期待されること。こうした作業と並行して、7月末から8月末にかけてバチカン図書室およびフランス国立図書館において史料収集を行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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ヨーロッパ文化史研究
巻: 14 ページ: 5-27
ヨーロピアン・グローバリゼーションと諸文化圏の変容 研究プロジェクト報告書(東北学院大学オープン・リサーチ・センター)
巻: プロジェクト報告書 ページ: 209-220