研究課題/領域番号 |
21520736
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大峰 真理 千葉大学, 文学部, 准教授 (70323384)
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キーワード | 近世ヨーロッパ / ジャコバイト / 国際商業 / 環大西洋事業網 |
研究概要 |
本研究の目的は、アイルランドおよびスコットランド出身のカトリック信徒が、近世北西ヨーロッパ経済の発展に果たした役割を明らかにすることである。 平成23年度は、本研究の3年目にあたり、前年度に発行した『船舶蟻装申告書-覧1694~1744年ロワール=アトランティック県文書館(フランス・ナント)Serie 120J』の統計分析を進めた。また平成23年8月から9月に実施した史料調査の期間中に、現地研究者と面談した。その結果、彼らによって、前掲書の科学的価値が確認されたと同時に、大学出版会からの出版を要請された。このことは、本研究の目的のひとつである<一次史料の網羅的な収集と整理>が着実に達成されていることを明示する。 さらに平成23年度後半は、本研究のもう一つの目的である<史料データの統計化と分析>を公表するために、1点の研究ノートを執筆した(平成24年5月刊行予定)。ここではもっぱら、史料紹介一伝来、保存状態、含まれる情報の内容一を行い、加えて可能な歴史分析の展望を示した。現在は、この「可能な歴史分析の展望」で喚起した視点にしたがって、雑誌投稿論文を執筆・推敲中である。 以上のように平成23年度は、5年計画で進めている本研究の「折り返し点」にふさわしい作業を遂行した年度であり、翌年度以降の「分析と論考」という成果を結実させるために重要な時期となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作業は、おおむね計画通りに進展している。「おおむね」とした理由は、研究成果の発表時期にある。つまり、学術雑誌の発行時期との関係で、平成23年度に執筆した研究ノートを年度内に公刊できなかったので、成果の公表が可視的ではなかったからである。しかしこのことは、作業の遅れを意味するものではないので、達成度の区分は(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は、前年度に発行した『船舶蟻装申告書一覧1694~1744年ロワール=アトランティシク県文書館(フランス・ナント)Serie120J』をもとに、統計分析の作業を進めてきた。現在、その結果を日本註論文として執筆中であり、まもなく雑誌論文として投稿予定である。また、前ページに記した通り、前掲書をフランスで出版する計画が現地研究者および大学出版局から提案されているので、平成24年度は、フランス語原稿を執筆し、出版のための作業をおこなう。 現時点で、当初計画した研究を遂行する上での問題点はない。
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