研究課題/領域番号 |
21520736
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大峰 真理 千葉大学, 文学部, 准教授 (70323384)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 近世ヨーロッパ / ジャコバイト / 国際商業 / 環大西洋事業網 / ヨーロッパ沿岸貿易 |
研究概要 |
本研究の目的は、アイルランドおよびスコットランド出身のカトリック信徒が、近世北西ヨーロッパ経済の発展に果たした役割を明らかにすることである。 平成24年度は、本研究の4年目にあたり、先に発行した『船舶艤装申告書一覧1694~1744年 ロワール=アトランティック県文書館(フランス・ナント)Serie 120J』について、数量分析をおこなった。またその成果を論文「18世紀前半フランス・ナントの海運業 -史料「船舶艤装申告書」を手がかりに-」としてまとめ、学術雑誌に投稿して掲載が許可された(平成25年5月刊行予定)。 同論文では、これまで国内外において実証的に考察されることがなかった18世紀前半のフランス・ナントによる海運事業の実態を解明することができ、①ヨーロッパ沿岸貿易から直行貿易への転換とその規模、②私掠船艤装活動の停止、③奴隷貿易の定着と進展を明らかにした。これらの新しい知見は、ナント海運業が世紀前半からすでに多角的で複合的な活動を展開した事実を明示し、先行研究の欠落を補完することに成功したといえるだろう。 以上のように平成24年度は、本研究の前半期に達成した史料整理を足掛かりにしながら分析と論考を深めることに成功した年度であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作業は、おおむね計画通りに進展している。「おおむね」とした理由は、研究成果の公表時期にある。つまり、平成24年度の研究成果をまとめた論文の投稿それ自体は年度中に行ったが、査読審査期間が必要であったために、刊行は平成25年5月(予定)となったからである。しかしこのことは、研究作業の遅れを意味するものではないので、達成度の区分は(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に執筆した学術論文が査読を通過し雑誌掲載が決定したことをうけ、今後は、『船舶艤装申告書一覧1694~1744年 ロワール=アトランティック県文書館(フランス・ナント)Serie120J』で整理した史料情報をさらに詳細に分析し、その成果を刊行する予定である。 また、前掲書をフランスで出版する作業を引き続きおこない、可能な限り早い時期の刊行をめざす。 現時点で、当初計画した研究を遂行するうえでの問題点はない。
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