2011年4月に研究プロジェクトのメンバーの研究会を新潟大学で行なった。本年度は、最終年度で、基本テーマを「ドイツ統一とオーストリアとし、若手研究者にも報告を依頼し、今年度の研究の方針を検討した。6月25日、新潟朱鷺メッセで行なわれた日本ドイツ学会でのシンポジウム「音楽の国ドイツ?」において、代表者松本は報告「「音楽の国ドイツ」の成立と崩壊」を行なった。文化を含めて「ドイツ統一とオーストリア」を検討する場合、重要な論点である。2011年8月1日、東京経済大学において、千葉大学の小沢弘明、趙景達氏を招いて、最近の国民国家研究について、総合的に検討する研究会を開催した。プロジェクトのメンバーと共に、東京、大阪の若手研究者も参加して活発な議論ができ、大きな成果を得た。 9月に、研究代表者松本彰は、オーストリアで在外研究を行なっていた連携研究者野村真理と、シュタイアマルク州の州都グラーツ、ケルンテン州の州都クラーゲンフェルトの調査を行なった。「ドイツ統一問題とオーストリア」を検討するための歴史的理解にとって貴重な成果を得た。グラーツは1848年革命の時の帝国摂政ヨハン大公の地元で、ドイツ・オーストリア関係を象徴する地であり、クラーゲンフェルトは第一次世界大戦後に住民投票によって国境画定を行なった地域として、以前から調査してきた北端のドイツ・デンマーク国境と対比して、ドイツの国境地域のトランスナショナルな状況が興味深かった。12月10日の早稲田大学西洋史研究会に招かれ、シンポジウム「ナショナリズム再考」において、「19世紀ドイツにおける市民社会、国民国家、戦争」を報告した。
|