研究計画に掲げた三つの研究課題のうち、(2)の「ポーランド・ユダヤ人難民問題」に関して、平成21年度中にインスブルック(オーストリア)およびエルサレム(イスラエル)で収集した史料・資料の読み込みを進め、2010年10月9/10日開催のシンポジウム「シオニズムの解剖」(大阪大学COEプログラム「コンフリクトの人文学国際研究教育拠点主催、於:東京麻布台セミナーハウス)にて、研究成果の一部を報告した。(論題「ホロコースト後のユダヤ人DP問題」) さらに史料・資料を補足するため、平成22年度末(平成23年3月)にウィーンに出かける予定であったが、東日本大震災発生により渡航をキャンセルせざるをえなかった。しかし、震災に関わる特別措置として科学研究費の次年度繰越が承認されたため、2011年9月3日から24日まで渡航を実現することができた。 シンポジウムの報告原稿は、この渡航により新たに得た史料・資料も用いて論文に書きあらため、2011年10月に刊行された論文集『シオニズムの解剖-現代ユダヤ世界におけるディアスポラとイスラエルの相克』(人文書院)に収録された。 本研究の研究課題(3)「ウィーンにおけるホロコーストとユダヤ人ゲマインデ執行部のかかわり」については、平成21年度にエルサレムの文書館で収集した史料その他の読み込みを進め、研究成果の一部を2010年11月6日開催の第108回史学会大会シンポジウム(於:東京大学)で報告した。(論題「二つの顔を持つ国第二次世界大戦後オーストリアの歴史認識問題」)
|