研究課題/領域番号 |
21520741
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
野村 真理 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20164741)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ユダヤ人 / ウィーン |
研究概要 |
研究計画に掲げた三つの研究課題のうち、(2)の「ポーランドユダヤ人難民問題」については、金沢大学の競争的研究経費「重点戦略経費・人文社会科学系学術図書出版助成」を得て、2012年11月、世界思想社より『ホロコースト後のユダヤ人――約束の土地は何処か』を刊行した。本書については、2013年1月20日付けの読売新聞書評欄に書評が掲載され、また2013年4月2日に紀伊国屋書店がWeb上で展開する書評空間でも取り上げられた。 研究課題(1)の「ウィーンにおけるホロコーストとユダヤ人ゲマインデ執行部のかかわりの検証」については、2011年の長期在外研究期間中に収集した史料・資料にもとづき、2012年5月27日、「ユーラシア現代史におけるユダヤ人とユダヤ人問題」研究会(於:立教大学)にて研究報告を行った。報告タイトルは「オーストリア・ユダヤ人の追放――ウィーン・モデルについて」である また、2012年8月21日から9月3日までポーランド、ベラルーシにて、12月23日から26日まで上海にて、(2)の課題については、戦後ポーランドのポグロムの現場を、(1)の課題については、ウィーンのユダヤ人の最終移送地ならびに亡命地上海の現場を確認して知見を深めることができた。とりわけ上海については、ユダヤ人亡命者の受入施設やリトル・ウィーンと呼ばれた小路の古い建物がなお残っており、これらが早晩取り壊されるであろうことを考えれば、貴重な体験であった。 研究課題(3)の「戦後ウィーンの反ユダヤ主義とユダヤ人の生活再建およびユダヤ人犠牲者補償問題」については、2011年の長期在外研究期間中に、ナチ支配下でナチとかかわったユダヤ人の非ナチ化裁判資料などを収集し、資料の解読は終了しているが、まだ論文としてまとめるにいたっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の三つの研究課題のうち、(2)のポーランド・ユダヤ人難民問題については、著書『ホロコースト後のユダヤ人--約束の土地は何処か』(世界思想社)の刊行により、ほぼ研究目的を達成した。 研究課題(1)ウィーンにおけるホロコーストとゲマインデ執行部の関わりの検証、および研究課題(3)戦後ウィーンのユダヤ人の状況については、史料・資料収集と解読はほぼ終了しているが、まだ論文としてまとめるにいたっていない。
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今後の研究の推進方策 |
上記に述べたように、本研究の三つの研究課題のうち、(2)については、ほぼ研究を完了したが、(2)の課題執行中に派生的に発生したルーマニア・ユダヤ人DP問題について、史料・資料を収集し、今後の研究につなげる。 平成25年度は、科学研究費による本研究の最終年度にあたるため、研究課題(1)および(3)について、最低でも各1本ずつ、論文をまとめる。
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