研究課題/領域番号 |
21520743
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (50353454)
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キーワード | ライフ・ストーリー / 少数民族文化自治 / 第二次世界大戦 / エストニア / ロシア語系住民 / 情報ギャップ / 社会的記憶 / 歴史認識 |
研究概要 |
〈現地調査/史資料収集〉 ・昨年度のエストニア国立文学博物館でのライフ・ストーリー調査に続き、今年度は、エストニア教育史公文書館において、主に教員を対象に、ライフ・ストーリーの調査を行った。同館に保管されているライフ・ストーリーの大半はソ連時代に収集されたものであり、本研究の目的の1つであるソ連時代の記憶と社会の関係の考察に資する史資料群である。ソ連時代の、しかも公的機関によって収集された史資料であるため、扱いに慎重さを必要とすることは言うまでもないが、複数の史資料を、時代横断的に分析することで、ソ連時代の社会像を描くためのパズルの一つになると言える。 ・国立文学博物館の編集・刊行したライフ・ストーリー関連刊行物の収集を行った。 〈史資料の整理〉 ・ペレストロイカ期にエストニアで発行されたエストニア語紙ならびにロシア語紙の電子化を行った。使用言語の違いによる情報ギャップは個人や社会の記憶形戒に影響を及ぼすと考えられているため、2つの言語間での差異を検証するための史資料とすることを目的としている。 〈研究成果の公開〉 ・雑誌論文(1)で少数民族文化自治法を扱い、「寛容」な少数民族政策の時代として語られる両大戦間期におけるその「寛容」について考察を深めた。 ・エストニアにとって大きな転換点っとなった1940年の出来事をめぐる複数の歴史叙述を分析の俎上に同時に載せることを通じて、歴史と社会の関係をあぶり出すことを目的として、雑誌論文(4)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.当初の計画通り、現地公文書館(教育関連)において、ライフ・ストーリーについての調査活動を実施し、また、関連の刊行物を収集できたこと。2.今年度までの研究活動に基づき、論文を発表するとともに、学会発表を行ったこと。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに研究を遂行し、来年度が本研究の最終年度となるため、他のポスト社会主義諸国との比較を視野に入れた考察が可能になるよう、国内外を問わず関連分野の研究者との意見交換を積極的に行う。
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