本年度は、Society for the Preservation of Fauna of Empire(ロンドンに拠点をおく野生動物保護団体。以下、SPFEと略記)の国際的ネットワークの形成について、おもに国内の大学での調査をおこない、昨年度クアラルンプルの諸文書館などで収集した資料との総合化をおこなった。また、その一部のデータ・ベース化作業を複数の研究協力者の協力をえておこなった。 具体的には 1)初期のメンバーの足跡と、そのネットワークについて東京大学および明治大学等の付属図書館で資料を収集し、とりわけ、創始者、E.バクストン関係の資料、この団体と植民地省との1910年代の協力関係についてもあわせて分析した。 2)第一次世界大戦後の会員の諸活動について資料を収集した。とりわけ、この時期の有力なメンバーのひとりであるJ-S.スティーブンスン・ハミルトン関係の資料の収集をおこない、かれが築き上げた植民地をまたがる交流関係、人脈についても分析した。 3)1930年代のイギリス領マラヤでおこなわれた野生動物の状況についての調査委員会の活動、その国立公園形成への働きかけについて、中心メンバーの一人であるT.ババクの足跡を中心に追い、その活動とSPFEとの関係を人間関係のネットワークという観点から分析した。
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