研究課題/領域番号 |
21520755
|
研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
井田 靖子 (菅 靖子) 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (20312910)
|
キーワード | イギリス / デザイン史 / 消費文化史 / 室内装飾 / 植物 |
研究概要 |
本研究は、急速に都市化した近現代イギリスにおける「緑化」をめぐる人びとの思考の変化が、都市という近代的な住環境にどのように反映され表象されているかを検討し、19世紀から20世紀初期のイギリス人の自然環境に対する感受性の変遷を浮き彫りにするという全体構想の下に、都市生活者に最も身近であった(人造植物も含む)観用植物や植物デザインなどを利用した私的空間の緑化(「緑」の配置、栽培)がこの時期に急速に発展した経緯、および園芸の趣味が貴族の奢修から大衆の健全な「合理的余暇」や精神的な慰めへとコンテクストを広げていった過程を探ることを目指している。 平成23年度は、もうすこし掘り下げなければならないデザイン運動の動きと植物の消費文化の関連性を分析するための資料をまず読み進める(ここで分析対象となるのは、百貨店や小売店のパンフレットや活動記録、インテリア関連の業界雑誌、家庭雑誌である)。コレに関してはNational Art Library(ロンドン)に雑誌やカタログのイギリス最大のコレクションがあるため、その検証が不可欠となる。また、関連資料を持つArchives of Art and Design(ロンドン)や地方文書館が所蔵する百貨店アーカイヴの調査を行って、研究に厚みをつける必要がある。更に、当時の市民の日記や写真アルバムを検証することで消費者の日常生活の実態を解明したい。よって、夏休みを利用して主にロンドンで資料収集を行う。後半は、最終年度にあたるため、国内で集中的に作業を行いたい。研究の総括として、大部分の時間を成果発表のための執筆にあてる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成に必要な資料は順調に収集できている。また国際会議での発表およびProceedingsの出版、国内の学会での論文発表など着実に社会還元を行っており、最終的な研究成果をまとめるための出版社の編集者とも平成23年度より定期的に打ち合わせを行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの調査結果をまとめ、単行本の執筆に専念する。
|