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2011 年度 実績報告書

イスラエルとディアスポラ―カネとモノの流れとパレスチナ問題

研究課題

研究課題/領域番号 21520760
研究機関学習院女子大学

研究代表者

武井 彩佳  学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (40409579)

キーワード西洋史 / ユダヤ人 / イスラエル / 補償 / パレスチナ問題
研究概要

本研究の目的は、ホロコースト後のユダヤ世界におけるカネとモノの流れを究明し、同胞からの寄付やナチ迫害に対する補償といった名目でアメリカやヨーロッパからイスラエルへ流れ込んだ物資や資金が、ホロコースト生存者の再生を助ける一方で、他方ではこれが国家としてのイスラエルを強化し、同時にパレスチナ問題の継続につながっていったのかを物的な側面から解明することである。
計画では、本年度は戦後ヨーロッパからイスラエルへの財政支援におけるカネの流れを究明するため、夏季にドイツで史料収集を行う予定であった。ところが、前年度のアメリカでの調査が思うように進展しなかったため、全体的に遅れが生じ、ドイツに研究出張を行ったとしても、思うような成果は期待できないと判断した。このため3月に再度アメリカ、ニューヨークに研究出張した。コロンビア大学ユダヤ・イスラエル研究所やユダヤ史研究センターを訪れ、史料収集を行うとともに、関係者と会合を持った。このため、研究費の約3分の2は、旅費として支出した。
今回の研究出張で痛感されたのは、公的な文書に残らない、私的な場でなされる政治に対して、歴史研究者としてどのようにアプローチすればよいのかという問題であった。公文書を精査したところで、それは史実のごく一側面を見ているにすぎず、影の部分をあぶりだしてゆくには、間接的に関連する第一次史料を大量にあたる他ないという事実に直面している。したがって、今後は米国立文書刊などでの外交文書などを視野に含める必要が出てくるだろう。
本年度は、特にヘブライ語の習得に専念した。ようやく、新聞を時間をかければ読めるようになってきた。現在、研究の中途成果を発表するための英語論文を執筆中である。
また、研究費の残りの約3分の1は、主に図書の購入に充てられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は、イスラエルに対する政治支援におけるカネの流れを解明することを目的としている。イスラエル国籍者ではない欧米のユダヤ系市民によるイスラエルへの寄付は、非常に政治的性格が強く、関係団体は史料の開示をほとんど行わない。つまり、決定的な第一次史料を欠いているため、間接的に関係する大量の第二次資料にあたらざるを得ず、時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

次年度は、長期でアメリカ滞在が予定されており、現場に近い場所でイスラエル支援団体を観察し、関係者に聞き取り調査などを行うことで、公文書にはあらわれない情報が得られるのではないかと考える。また、ワシントンのホロコースト記念博物館の文書館や、メリーランドの米国立文書館での集中的な史料収集をおこなうことで、史料状況を新たな次元に持ち上げることができると考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 図書 (2件)

  • [図書] ドイツ文化史入門:16世紀から現代まで2011

    • 著者名/発表者名
      武井彩佳, 他(井上茂子・若尾祐司編)
    • 総ページ数
      333
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 規則的、変則的、偶然的:大久保進先生古稀記念論文集2011

    • 著者名/発表者名
      武井彩佳, 他(大久保進先生古稀記念論文集編集委員会編)
    • 総ページ数
      562
    • 出版者
      朝日出版

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公開日: 2013-06-26  

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