研究課題/領域番号 |
21520764
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
轟木 敦子 (中村 敦子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (00413782)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 西洋史 / 貴族 / 証書 / イングランド / フランス |
研究概要 |
2013年度は、世俗貴族に関わる証書資料の、現物あるいはインターネットによる情報収集作業の継続、アングロ・ノルマン王国論に関する研究史確認を中心に行った。まず、証書資料に関しては、8月に資料調査に渡英し、The National Archiveに保管されているWilliam de Roumareに関する証書資料の収集を行った。予想以上に関連文書が見つかり、整理読解作業を実施中である。ノルマンディに関連する証書資料については、パリあるいは地方の文書館に保管されていたものが近年盛んにネット公開・編集刊行が進んでおり、その情報を収集整理する作業を行っている。また、David Bates, The Normans and Empireが刊行され、本研究全体の基盤となる議論に大きく関わるため、同著作を含めた研究動向をまとめている。 具体的な成果としては、2012年のInternational Medieval Congressでの発表が、2014年3月にViella社より出版されたPolitical Order and Forms of Communication in Medieval and Early Modern Europeに、第二部イントロダクションと、論文Anglo-Norman Kings and the ‘Renewal’ of Charters: Examples from the History of the Church of Abingdonとして掲載された。また、2014年1月に「ヘンリ1世の大陸政策-タンシュブレの戦い再考」を中世英独仏関係史研究会研究集会にて発表し、また2014年3月に「ウィリアム征服王最後の10年―アングロ・ノルマン君主の巡回と証書発給」を中近世ヨーロッパにおけるコミュニケーションと紛争・秩序研究会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資料状況の把握とその情報整理に時間がかかってしまっている。そしてその情報を利用し、準備したうえで渡英、渡仏しての史料収集をしっかり行うべきだったが、予定ほど長期間渡欧することができなかった。また、インターネットによる情報が豊かになっているにもかかわらず、うまく整理できず利用がまだ不十分であるため、整理方法を工夫していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
対象とする史料群を広くとりすぎているために史料の収集整理に時間がかかっているので、今後は、検討対象とする貴族たちを、チェスター伯家とWilliam de Roumare, バイユー副伯の家系を中心にしぼりこみ、個別事例の分析を深く集中して行うことから全体像を構築していくことを考えている。君主側については、すでに刊行されているウィリアム征服王の証書集、スティーヴン王の証書集に加え、ヘンリ1世の証書の編集作業が進み、新しくインターネットにより一部公開され始めており、君主側の証書史料の利用が可能になってきているので、これらの史料を総合的に利用して研究を進めたい。
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