研究実績の概要 |
2014年度は2つの作業を行った。すなわち、①証書資料収集と、②研究動向の調査である。①については、チェスター伯家とその周辺の貴族たちについて、昨年度から引き続きThe National Archives, The British Library, The Institute of Historical Researchを訪問し、チェスター伯Rannulf とその親族William de Roumareに関する資料確認・収集を行った。チェスター伯Rannulfについては、それまでの伯たちに比較し、関連資料は一挙に拡大するため、さらなる検索収集作業が必要となる。とくに大陸ノルマンディ側の資料については未開拓であり、現在、修道院証書集等から収集する作業をおこなっている。また、近年はフランスの資料について、インターネット上に非常に多くの資料が掲載されるようになっており、情報の収集を継続して行っている。また、研究全体の方向性について、イースト・アングリア大学のデイヴィッド・ベイツ教授とまとまった研究上の意見交換をすることができた。 具体的な成果としては、アングロ・ノルマン王国論を背景に、当時の貴族層についての近年の理解の特徴を、彼らの活動とネットワークの存在に注目しつつ整理した研究動向をまとめ、2015年中に刊行予定である。また、実際の証書資料の分析について、証人リストの利用のさらなる深化をめざし、ウィリアム征服王とその息子たちの関係が、年代記資料だけでなく証書資料にどのように表れているかを分析した。本論文も、やはり2015年中に刊行予定である。
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