研究課題/領域番号 |
21520765
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳田 俊雄 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (40140462)
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研究分担者 |
阿子島 香 東北大学, 文学研究科, 教授 (10142902)
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キーワード | 考古学 / 東北大学 / 日本早水台遺跡 / 漢陽大学 / 朝鮮大学校 / 韓国全谷里遺跡 / 竹内里遺跡 / 東アジア |
研究概要 |
本学の日本での調査研究は東北大学に収蔵されている大分県早水台遺跡第8次発掘調査で出土した下層石器群をデータ化した。特に、早水台遺跡下層石器群について、宮城県考古学会での口頭発表、『Bulletin of the Tohoku University Museum No.10』への投稿準備と調査研究成果の発表をおこなった。また、国内の調査では、岐阜県多治見市西坂遺跡、愛知県新城市加生沢遺跡の資料を調査研究し、海洋酸素同位体編年ステージ5e(MIS)段階と推定される石器群と、早水台遺跡下層石器群の比較検討をすすめた。この二つの石器群に、チョパー、チョピング・トゥール、ハンドアックス類の石器と小形のスクレイパー類が発見されていることを確認し、約10万年前の旧石器時代において日本と東アジアに何らかの共通する関係があるということを再認識した。さらに、早水台遺跡下層石器群の比較をするため、北九州市埋文調査室で辻田遺跡の旧石器資料の調査、官崎県埋蔵文化財センターで、後牟田遺跡第III文化層、矢野原遺跡、赤木遺跡、東畦原第1遺跡、中ノ迫第2・3遺跡、山田遺跡、音明寺第2遺等の石器群を調査研究し、後者の調査では、南九州で発掘された後期旧石器時代の最古のグループの資料の検討をおこなった。この資料調査は、日本の前期旧石器時代の石器群と後期旧石器時代の最古のグループの資料に一連のつながりと断絶がみられるかを確認するためのものであった。 後期旧石器時代にチョパー、チョピング・トゥール類の礫器が日本の中に残るものの、ハンドアックス類の石器が残存しないことが判明した。国外の調査では、柳田は共同研究者である阿子島教授とともに、海洋酸素同位体編年ステージ5e(MIS)段階と推定される韓国漢陽大学の襄基同教授が発掘した漢江流域の全谷里遺跡、金坡里遺跡、朝鮮大学校李起吉教授が調査した南韓地方の栄山川流域竹内里遺跡、道山遺跡の旧石器資料を調査研究し、早水台遺跡下層石器群と比較検討をすすめた。当該期の日本と韓国の旧石器資料を比較するにあたって、東北大学に収蔵されている早水台遺跡下層石器群は東アジアの旧石器時代の研究をすすめていく上て、今後貴重な基準資料であると認識した。
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