植民地期朝鮮で古蹟調査した関野貞は、1910年前後に朝鮮半島各地の考古資料を採集した。そのうち、古墳関係資料を整理調査するのが本研究の目的である。今年度は慶尚北道高霊郡にある池山洞古墳群とそれに隣接する山城(主山城)から採集した土器の調査を行った。完形土器以外の、多くの破片を洗浄、注記、接合復元して整理したのち、全点の写真撮影を行って目録を作成した。それをもとに必要なものは拓本、実測を行い資料化した。慶北大学校が1977年に発掘した池山洞44号墳の出土品を同大学校博物館で2008年に再整理して、その報告を2009年に『高霊池山洞44号墳』として刊行したので、その観察方式に合せてデータを作成しデータベース化した。破片から全体形を図面復元したところ、完形土器にはない器種も含まれ新知見を得ることができた。池山洞地域の三国時代土器の全体像は、まだ完全ではないがおおよその構成を知ることができた。 一方、フィールドカードの該当箇所の記録を書き起こして、関野貞調査当時の記録と土器資料を結びつけた。主山城の土器は、古墳群出土土器とほぼ同時代であり、両者はほぼ同時代であることが確認できた。 高霊池山洞古墳群の周辺地域の古墳群から出土した土器資料も収集し、それとの比較も行い地域的な土器様式の共通性と相違について考察し、それが地域政治集団のまとまりを反映していることを確認した。
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