本研究では発掘調査等で出土した文字のある土器・石製品・木簡などの出土文字資料のなかで、宗教関係の語句のある事例に関して、宗教経典などとの出典論的研究を行い、所依経典を推定することによって、具体的な信仰の実態を考察した。方法としてはデータベースや発掘調査報告書等から宗教関係の語句を抽出し、関係する文献を収集した。また、それらを所蔵する各地の施設において実見調査を行った。仏典や経書に類似する語句の用例や用法を確認し、各々の出土文字資料の背景にある宗教や信仰の実態を明らかにした。結果として、古代集落遺跡において、仏典や経書を典拠とする語句がみられ、集落次元での宗教の浸透を具体的に明らかにした。
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