生態系サービスを活用した地域農業の振興については、(1)供給サービス(2)文化サービス(3)調整サービスを組み合わせた研究を行なった。事例地域としては、秋田県湯沢市、宮城県名取市、山形県金山町、福島県西会津町を取り上げて調査を行なった。福島県西会津町では、高齢化のすすむ山村集落の地域活性化のために、地域住民の活力をいかに組織するかが課題となった。その調査結果、第一に耕作放棄を防止する方法として親族の労働力を活用する農業支援交流システムの可能性を明らかにした。第二は地域住民のモテイベーションを高めるための共通課題として、食文化への関心を高めた。具体的には食文化博覧会を開催して、地域内の資源に対して地域住民の関心を高めるシステムを開発した。第三は、地域住民が交流しあい、また地域外の交流人口を活用する拠点作りを行なった。西会津町については、農業振興と地域への交流人口の導入を行なう方向性を整理することができた。 東日本大震災への対策については、津波の被害を受けた仙台市と名取市の集落農業を活性化する方法を検討した。まず第一に、仙台平野の津波被害の実態と屋敷林の防災効果について調査を行なった。その成果については、東北地理学会で報告した。第二は名取市の大曲集落の復旧復興を実践した。復旧活動では、水田の瓦礫処理や復旧イベントのひまわりまつりの実施などを運営した。復興のための地域農業振興策では、仙台地域の都市住民の交流人口力を活用した貸し田んぼ農業の運営システムの開発を行なった。
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