研究概要 |
本研究は,新聞・報告書・旅行案内書・リーフレット・鳥瞰図・写真・広告などの多様なメディアを分析することで,近代日本におけるツーリズムが,どのような時期に,どのような場所で,どのような人びとを対象として成立していたのかを考察することを目的としている。ここでいうメディアとは,言語だけではなく,地図・イラスト・写真などの図像も含んでいる。 本年度は,大正・昭和初期の絵はがきの収集と分析を進め,群馬地理学会大会と国立歴史民俗博物館での研究会において成果発表を行った。次年度に報告を公刊するべく準備中である。また,メディア研究の方法論に関して,文献の整理と内容の検討を行うとともに,大正期から昭和初期に出版された旅行案内書や鳥瞰図の調査・収集を行い,作成主体(著作者・出版者・販売者)などの情報をリストアップしてデータベース化を進めた。さらに,長崎県の雲仙などで現地調査を行い,長崎県立長崎図書館において雑誌・新聞などの資料を収集した。これらの資料は今後分析を進める予定である。なお,本課題に関連したものとして,草津温泉における源泉管理の仕組みの歴史的変遷について,壬申地券地引絵図や旅行案内書などを活用した考察結果をとりまとめた。 また,本年度,これまで収集した研究資料を紹介するホームページを開設した。鳥瞰図や絵はがきをスキャンした画像資料を中心にして,簡便な解説を加えたものである。今後さらに閲覧できる資料の充実を図っていきたい。
|