二年目の本年は、「里海」の景観構造と伝統的生業活動について、奄美大島北部をフィールドに以下の調査を実施した。 1. サンゴ礁浅海域デジタル画像の解析と藻類群落との対応に関する現地調査(服部) 佐仁集落前のサンゴ礁のデジタル航空写真画像を解析して基質カテゴリーを分類した後、現地でのシュノーケル潜水による水中観察を実施し、藻類群落が成立する基質カテゴリーの特徴を調査した。 2. 村落の景観変化と生業活動に関する聞き取り調査(佐野・田中) 佐仁における漁撈などの伝統的生業活動と、サトウキビ転作以前の農業について聞き取り調査を行なった。また沿岸部における砂浜の消失やサンゴの減少など、土地利用の変化との関わりが疑われる現象についても調査した。 3. 水文学的手法によるシミュレーションの検討(田中) モデルに必要なデータ一式を整備し、モデル構築の具体的な準備作業を完了させた。主要データである土地利用については昭和40年代から5時点の詳細データを入手し、対像地域において大規模な農地利用の転換が進む過程を空間的に把握することができた。 以上、各自の成果の照合によって「里海」景観の全体構造が解明されつつあり、最終とりまとめへの方向性を見出すことができた。また3についてはこのデータを基にモデルを構築し、転作による環境負荷の変化を定量的に評価する方向で考えている。
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