研究概要 |
本研究の全体構想は,南アフリカ共和国,モザンビーク共和国,モーリシャス共和国の港湾都市を主たる研究対象とすることによって,当該都市を中心とする南部アフリカ地域の都市群発達史,当該都市が発揮するゲートウェイ機能に関する一般的特性,都市居住住民の多様性を反映した多民族・文化共生について考察することにある。 本年度に現地調査を実施した主たる都市は,モザンビーク共和国のナンプラー市とマプート市および南アフリカ共和国のケープタウン市である。ナンプラー市においては,愛媛大学と学術交流協定を締結しているルーリオ大学を訪問し,都市の概要に関する聞き取り調査を行うとともに,市内の土地利用および中心商店街の業種調査を実施した。首都マプート市においては,同国で最も古く規模の大きいエルドラド・モンデレイン大学の地理学教室を訪問して,今後の調査協力を依頼するとともに,同教室の教官と学生を対象とする日本の都市に関する講演を行い,日本とモザンビークの都市に関する意見交換ができた。また,マプート市内の土地利用および中心商店街の業種調査も併せて実施した。これらの調査成果は,2010年6月の愛媛地理学会で報告する予定である。 ケープタウン市においては,ケープタウン大学図書館などで最新統計や資料を収集した。また,黒人が主たる経営者となっている3つのワイナリーを訪問し,その経営実態などを調査した。さらに,市内最大の黒人居住区であるカエリチャ地区やマシプメレレ地区を訪問し,その土地利用や景観調査を実施し,同地区におけるさらなる治安や生活の悪化傾向を聞き取り調査で確認することもできた。
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