研究概要 |
本研究の全体構想は,南アフリカ共和国,モザンビーク共和国,モーリシャス共和国,コモロ連合の港湾都市を主たる研究対象とすることによって,当該都市を中心とする南部アフリカ地域の都市群発達史,当該都市が発揮するゲートウェイ機能に関する一般的特性,都市居住住民の多様性を反映した多民族・文化共生について考察することにある。 本年度における現地調査の実施港湾都市は,モーリシャス共和国の首都・ポートルイス市,コモロ連合の首都・モロニ市,および南アフリカ共和国のケープタウン市である。ポートルイス市においては,首都への機能集中に伴う交通渋滞や用地不足などの都市問題が深刻となり,近年モーリシャスの主要企業が郊外のエベネ(Ebene)地区へ本社を移転し始めていること,南アフリカ共和国資本などによるショッピングセンター(SC)の立地が活発となり,廃止されるSCが出現するなど,SCの過当競争時代に突入したことなどが確認できた。モロニでは,コモロ大学やコモロ国立博物館などを訪問し学長や館長などの研究者と交流するとともに,古いアラブ人街,都心地区(官庁街,銀行街),住宅地区などの都市的土地利用の調査を実施した。ケープタウン市においては,ケープタウン大学に新たにできた都市研究所の研究者などと交流し,ケープタウンに関する最新資料を収集するとともに,最大黒人居住区カエリチャ(Khayelitsha)地区を訪問し,その土地利用や景観調査を実施し,同地区のさらなる拡大や治宥や生活の悪化状況などを聞き取り調査で確認することができた。
|