製造業中小企業は、その立地地域が産業集積地域であれ非産業集積地域であれ、イノベーションの源泉の一つである技術の高度化を、その企業独自の努力によって実現するのが一般的である。公的研究機関は技術開発そのものよりも、開発された技術の評価で貢献することが多い。しかし、イノベーションに直結する技術の高度化を追求するための契機は、その企業の生産物や加工技術に対するニーズが他社から寄せられることにある。それは必ずしも当該企業の立地地域およびその近隣地域からとは限らず、九州域内遠隔地や九州域外から寄せられることが多い。ただし、遠隔地からのニーズや情報の入手にさきがけて、それら中小企業は、自社が立地する地域内部や近隣地域に存在する需要に応えるべく努力し、良好な評判を確立しているのが一般的である。つまり、域内需要に応える企業から移出・輸出で成功する企業へと発展するからこそ、イノベーティヴな中小企業になりうる。しかし、個別の中小企業の成功が、地域経済全体の成功へとつながるわけでは必ずしもない。
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