近年、庇護を求めて来日する人々の増加や日本政府による第三国定住プログラムの導入により、日本の難民への学術的関心が高まりつつある。しかしながら、日本の地理学における難民研究は少なく、特に日本の難民を対象とする文献は非常に限られている。そこで本研究では、欧米の地理学における難民に関する既存研究を整理し、日本における難民政策や支援の実態を把握した上で、日本の難民に関する地理学的研究の可能性について探った。その結果、地理学が取り組むべき課題として、(1)難民認定をめぐる日本政府の対応を国境管理政策と関連づけて調査すること、(2)民間支援の特徴を国内の地域間比較や海外との比較を通じて分析すること、(3)難民の移動過程を居住パターン、ネットワーク、地域住民との関係、男女の違いに注目しながら考察することの3点を挙げた。
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