ブラジル・アマゾンにおいて先史文化が、近年、さまざまなかたちで利用され始めている。この現象を「先史文化の現代的利用」ととらえ、1960年代に始まる「先史土器復興」(先史土器をモデルとする複製や民芸品などの制作)を焦点として、文化人類学的実態調査によって、その実態を明らかにした。陶器生産による経済振興や、先史文化を援用しての行政による地域アイデンティティ強化の試みなどの結果、先史土器の意匠が町中に氾濫するなかで、現在の住民と先史文化のあいだに、「断続」とでも呼びうる興味深い結びつきが生まれつつある。
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