22年度は2回のフィールドワークを行い、データを収集した。1回目は8月末から9月にかけての2週間であり、2回目は12月後半の2週間である。1回目の調査では前回の世帯調査の補足と追跡調査を中心に行い、ゴム園労働をはじめ、焼畑に代わる生業への転換の状況や、家計について聞き取りを行うと同時に、滞在中に寺で行われた儀礼の調査をし、現在進行しつつある村人たちの宗教実践に関する変化について観察と聞き取りを行った。 2回目の調査では村で行われた儀礼と慣習を中心に調査を行った。一つは村の祭司を務めていた長老の葬儀であり、もう一つは森に棲む村の守護霊を祀る儀礼、そして「プークケーン」と呼ばれる儀礼であり、これは出稼ぎから戻ってきた娘のためある世帯が催したものである。これらに参加し観察と聞き取りを行った。儀礼や慣習をめぐる実践は、文化変化が顕著にあらわれるため、大変重要なデータとなる。そのほかに複数の世帯の生業についてもデータを収集し、村の外部の資源へのアクセスの状況や、世帯の生存戦略の変化を明らかにするための材料を得ることができた。
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