平成23年度は沖縄県における本島ならびに離島部における台風・気象・海流の変化に関する、民俗知識ならびに民間伝承の聞き取り調査と民俗誌、字史、郷土誌に関する、文献データの収集と分析を実施した。とりわけ、夏期には沖縄県読谷村、名護市、大宜味村塩屋、恩納村、国頭村でのフィールドワークを実施し、台風の予兆に関する、気象、動植物に関わる、民間伝承についての聞き取りと文献収集を実施した。また、今年度も琉球大学の防災研究所の研究協力を得て、防潮被害とその対策に関するデータを入手して、参考資料とした。また、本年度は、民俗知識の一環として、雨乞い儀礼を含む、祭祀儀礼に関して、沖縄県下、とりわけ大宜味村塩屋湾の海神祭を対象にビデオカメラにより撮影し、記録・保存した。 収集資料のデータベース化に関しては、最終年度として、気象に関する民俗知識・予兆伝承を937事例リストアップしており、台風・暴風・雨・干ばつ・雨乞い・海・疫病・風・雷・寒波・飢謹・季節・雲・曇り・作物・地震・月・津波・天気・天体の各項目への分類、整理を終えている。さらに、台風・暴風に関連する250事例、雨に関連する267事例および、干ばつに関する気象予知もしくはことわざに関わる民俗知識の内容を、海洋関係、風、雲・空、天体・気象関連、季節、植物、虫関係、鳥、海辺の生物、動物そのほかの関連項目に分類したデータベース化も終了した。 最終年度として、海外の状況、アラスカの先住民の気象予知慣行と沖縄に関するデータベースとの比較研究のために、6月および7月に「防災に関する総合的研究」と題して、研究会を2回、明治大学学内で開催した。
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