本研究は、ヨーロッパ、おもにドイツにおけるトルコ人移民労働者を対象とし、彼らの出身地であるトルコの農村とのネットワーク構築に関する考察を通して、トルコ移民たちと出身国の農村に残った者たち相互の生活戦略を文化人類学的に探究することを目的とした。移民労働者の出身地の村とのネットワークは、家族・親族関係を通して出身地の村から結婚相手を見つけることによってより堅固な絆を構築し、ネットワーク構築は移民先と村側両方から働きかけが行なわれる双方向的な営みである。今後は社会変化のなかで移民や村人の生活戦略がどのような影響を受けるかに注目していきたい。
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