研究課題
エチオピア西南部における牧畜民と農耕民のあいだで過去数十年頻発しつつある紛争について、代表者が調査してきたマロの事例だけでなく、近隣集団における事例も含めて比較考察を行った論文を執筆した。その際には、西アフリカなどアフリカの他地域で発生している牧畜民と農耕民の間の紛争などについても参照し、それらとの異同について考察した。11月にエチオピアのアディス・アベバで開催された第17回国際エチオピア学会(International Conference of Ethiopian Studies)において、作物の多様性および労働組織の点から、マロにおける近年の農業の変化について口頭発表を行い、論文を提出した。初回提出時にはその二つのテーマで議論していたが、年明けの再提出時には文量の点から後者の労働組織、とりわけ協同労働の変化に焦点をあてて論じている。エチオピアにかぎらず広く農民社会には協同労働がみられるが、同時にその変化も指摘されている。本論ではそうした議論を参照しつつ、生業の技術・知識の伝達・継承という従来あまり指摘されてきていない側面に注目し、近年のマロの変化のなかにはその点からみて危惧が感じられることなどを論じている。長期的には社会の持続性に関わる重要な問題であり、今後も注目してみていくつもりである。また本研究の中心対象ではないが、比較対象として研究している、信州の山村の生業の変遷についての聞き取り調査を9月に実施した。まだこの成果は出せていないが、すでに三年の蓄積があり、テーマも定まってきているため、できるだけ早く分析を進め、成果を発表していきたいと考えている。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Proceedings of the International Conference of Ethiopian Studies 16
ページ: 311-322
Economic Botany 63(2)
ページ: 152-166
Nilo-Ethiopian Studies 13 13
ページ: 80-81
Landscape, Power and Process : Re-evaluating Traditional Environmental Knowledge(Berghahn Books)
ページ: 285(藤本は156-182を執筆)