実地調査は、海外と沖縄で合計4回実施した。7月24日から6日間の上海における調査では、上海沖縄県事務所にて、上海における沖縄県人に関する基礎的な情報収集を行ない、その紹介で上海沖縄賢人会会長の諸見里氏および事務局の仲嶺さんへのインタビューが実施できた。上海沖縄県事務所は、2005年6月に開所している。沖縄賢人会とは、直接の関係はないが、個人的交流や情報交換は行っている。他県の場合は、県人会の活動が県事務所を中心に展開されている例が多く、それと比べると沖縄県事務所と沖縄賢人会の関係は集団的つながりではなく、個人的つながりという点で特色がある。また、沖縄賢人会の活動も、ビシネス関係ではなく、飲み会や三線教室、エイサーと個人的な興味でつながっている。他県人会が、ビジネス情報交換を目的としたゴルフコンペを開くこととは活動内容が異なっている。 8月6日から13日、香港で実地調査を行なった。香港沖縄県人会には、何人かのキーパーソンとなる人がいた。名誉会長となっている福島さんは、香港だけでなく中国各地にネットワークを持ち、香港だけでなく中国各地の沖縄県人のネットワークを広げることに貢献している。近年、香港で沖縄料理店のブームがあり、何軒かの沖縄料理店が開店し、そこを拠点に沖縄県人の集まりや、活動が展開している。 沖縄では、6月、10月、2月の3回に分けて調査を行なった。まず、海外沖縄県事務所の業務を管轄している沖縄県産業振興公社で、上海、香港、福州の沖縄県事務所における業務日誌関係の資料を収集した。さらに、上海での大学を卒業し、一旦帰沖している人たちにインタビュー調査を行なった。そのほとんどが、高校卒業後に上海の大学に進学している。その理由は、親戚や友人を頼っての留学であった。学生時代には、上海賢人会の活動にも参加していた。機会があれば、中国での就職を希望している。 2009年度は、研究の第1年目で、パイロット・サーベイを沖縄県事務所、沖縄県人会、個人と分けて行なった。その中で、沖縄県人の個人ネットワークの強さが指摘できるが、この点はさらに他県の活動と比較する必要がある。
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