本研究は、現代日本社会における「教育・子育て」のありようを主として法哲学的・社会哲学的な分析枠組みを用いて探究することを目的とする。基本的に文献資料を用いた研究を想定しているが、副次的に学校や児童福祉施設、フリースクールなどの諸機関(に属する人物)に聞き取り・調査などを行う予定である。 初年度である平成21年度は、本研究における柱的な論点・問題枠組みの各論点に結節するような意図を持って、文献資料を収集し、そこでの個別論点を整理することを基本的作業とした。具体的には、1.「国家-親-子ども」の三者の立場を代表する議論の検討に資する資料・文献の収集、2.公教育の中立性に関する文献・資料の収集、3.拙著『関係的権利論』出版時期以降の子どもの権利に関する文献の収集、4.子ども論の類型化に役立つような議論を探索し、関連する文献の収集である。 以上の資料収集・論点整理に加えて、初年度は次年度の「頭出し」として、平成21年9月に札幌で開催された「『地方自治と子ども施策』全国自治体シンポジウム2009in札幌」に参加した。そこでは子どもの権利条例などについて各自治体から報告がなされた。これらの情報収集が本研究のひとつの重要な検討課題につながるものであった。 刊行は平成22年度になるが、法律文化社において平成22年秋に出版予定の『講座人権論の再定位』所収予定の「子どもの権利を問うこと」という論文を執筆した(平成22年3月末に出版社に提出)。
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