本研究は、現代日本社会における「教育・子育て」のありようを主として法哲学的・社会哲学的な分析枠組みを用いて探究することを目的とする。基本的に文献資料を用いた研究を想定しているが、副次的に学校や児童福祉施設、フリースクールなどの諸機関(に属する人物)に聞き取り・調査などを行う予定である。 本研究の第二年度である平成22年度では、初年度の資料収集・論点整理を踏まえて本格的な論点の検討に入った。「誰の子ども?」という検討すべき論点に関しては、初年度に概括的に整理検討された「国家-親-子ども」三者それぞれの立場の対立点のみならず、三者の内的連関性や複合性なども視野に入れた検討を行った。また引き続き、「子どもの権利論」に関しては、本研究の問題枠組みに資する子どもの権利論をフォローした。特に、拙著「関係的権利論」出版時期以降の子どもの権利に関する文献の収集・論点整理を行った。 特に平成22年度に力を入れたものとして、「子ども論(と法哲学・社会哲学)」の整理という研究課題が挙げられる。子ども論(childhood)という論点が哲学、文化人類学、社会学、歴史学、心理学、法学、政治学等々においてどのように取り扱われているかについて、文献研究を中心に整理した。これらの論点整理が本研究の最終年度である平成23年度に生かされる。 刊行は平成23年度になるが、上記研究の成果として立教法学81号において「子どもの権利論における人間学的基礎-子ども論・子ども学から」という論文を執筆した(脱稿平成23年1月)。
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