研究課題/領域番号 |
21530004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 正男 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (80230994)
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キーワード | 法制史 / 社会秩序 / 法秩序 / 法技能 / 14世紀 |
研究概要 |
14世紀の社会秩序構造変化において、野にありながら、高度な法知識・法技能を有し、訴訟の場で法を利用する者達が果たした役割を、実証的に解明することを目的として、以下の作業を行った。 1-個別主体事例検討のため、昨年度に引き続き、薩摩国御家人山田道慶、および東寺雑掌(沙汰雑掌)頼憲・光信・頼勝について、東京大学史料編纂所架蔵の原本・写本・刊本を対象とした史料収集作業を行った。また、東寺雑掌の関連史料を求めて、京都府立総合資料館において、東寺観智院金剛蔵聖教等の調査を実施した。 2.個別訴訟事例検討のため、昨年度までの成果を踏まえ、本来一体のものでありながら、陽明文庫所蔵洞院家旧蔵記録典籍類紙背文書・毘沙門堂門跡所蔵洞院家旧蔵史料に分散して伝来した訴訟事例について、両史料をあわせて検討し、復元する作業を行った。 3.史料編纂所未調査の関連史料について、鹿王院所蔵史料・大覚寺所蔵聖教紙背文書等の調査を実施し、必要なものは、デジタルカメラによる撮影を行った。このうち、学会未紹介の史料は、翻刻・検討の上、順次論文ないし史料紹介のかたちで公表する予定であるが、まず、大覚寺所蔵聖教紙背文書を、「大覚寺所蔵「嚴避羅抄」紙背文書」として、『室町時代研究』第3号に紹介'した。 なお、本研究の大まかな見通しを、2012年3月21日、南京大学(中華人民共和国)における東京大学リベラルアーツ・プログラムの特設講演「14世紀日本における社会秩序形成・維持構造の変化」として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個別主体および個別訴訟事例に関する史料収集・検討作業はおおむね順調に進展している。学会未紹介の関連史料については、雑誌論文のかたちで発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに行った史料収集作業を総括し、それを踏まえて補足調査を実施する。学会未紹介の史料については、順次個別の史料紹介として報告する。 収集した史料に基づいて、個別主体・個別訴訟事例としての検討を行い、必要に応じて、原本の実見、高精細画像データの収集等、補足調査を実施して、分析の精度を上げ、結果を順次事例報告としてまとめる。 あわせて、個別事例相互間の比較等、総合的な検討を行い、研究を総括する。
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