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2009 年度 実績報告書

天皇制の法史学的考察-古代と近代-

研究課題

研究課題/領域番号 21530005
研究機関一橋大学

研究代表者

水林 彪  一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70009843)

キーワード旦本法制史 / 日本史 / 古代 / 古事記 / 出雲国造神寿詞 / 天皇制 / 続日本紀 / 延喜式
研究概要

21年度当初に提出した「研究実施計画」において、研究課題の第1にあげた「出雲関連の論文の執筆」は、「古代天皇制における出雲関連諸儀式と出雲神話」論文としてまとめられた。
この論文は、『続日本紀』の記事などに散見される、出雲国造が天皇に対して賀詞などを奉上する儀式の意義について考察したものである。この儀式に関する諸研究は、二つの問題軸に即して、分岐が認められる。すなわち、Aこの儀式の挙行時点に関して、(1)この儀式が、出雲国造新任に際しての儀式であるのか、それとも、(2)天皇即位に際しての儀式であるのかという問題軸と、Bこの儀式の意義について、(1)天皇に対する国造の服属儀礼か、(2)天皇即位を出雲国造が寿ぐ儀礼か、(3)出雲国造祖神による諸神平定のことの天神に対する神話上の報告儀礼の現実における再現儀礼か、(4)天皇に対して出雲国造が行うタマフリ儀礼か、という問題軸である。通説は圧倒的に(1)(1)説であるが、大浦元彦氏は(2)(2)説、関和彦・森田喜久男両氏は(1)(3)説、菊地照夫氏は(1)(4)説を唱えられた。
本稿は、以上のいずれにも批判的であり、独自の説を主張する。すなわち、(a)この儀礼の初見である716年や、これに次ぐ724年の儀式すなわち出雲関連諸儀式の原型(律令天皇制成立期における出雲関連儀式)においては、天皇即位儀礼の一環としての、大国主神の高天原=天皇王権への国譲り儀礼であったが、(b)8世紀中葉以降に変質が始まり、『延喜式』(10世紀初頭)には、(1)(3)の儀式として調え直された、とする見解である。以上のうち、(a)については、儀式の祭儀神話としての『古事記』神話論の観点から、(b)については、『延喜式』収載の「出雲国造神賀詞」の分析を通じて、論証した。
全く新しい出雲神話・出雲関連儀式論を構築し、このことを通じて、古代国制史全体に関する通念の根本的見直しのための問題提起が出来たと考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 古代天皇制における出雲関連諸儀式と出雲神話2009

    • 著者名/発表者名
      水林彪
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告特集号『古代における生産と権力イデオロギー』 第152集

      ページ: 105-148

    • 査読あり
  • [図書] 国制と法の歴史理論-比較文明史の歴史像-2010

    • 著者名/発表者名
      水林彪
    • 総ページ数
      1-639
    • 出版者
      創文社

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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