本年度は、研究計画の最終年度として、これまで蒐集してきた中央(太政官・民部官・民部省・司法省)と地方(静岡県)における司法制度資料(立法資料、伺・指令、判決文、新聞資料など)を「資料年表」という形に取りまとめ、明治元(1868)年から明治10(1877)年までの分をweb上で公開した(明治初年司法史年表(1868-1877)https://sites.google.com/site/fazhishinobuwu/de-yu-shi-yan-jiu)。 この年表によって、中央に関しては現在蒐集できる限りの法令資料を網羅的に整理したので、これを時系列的に読み進めていけば、当時の改革の進展状況を資料に即して具体的に把握することが可能になった。同時に、どの時点に資料上の欠があるかも理解することができるようになったといってよい。 また、この年表では、当該時期における静岡県司法制度資料も網羅的に蒐集した。これを中央資料と並行して読み進めていけば、中央の改革方針が地方においていかに具体化されていったのかを(こちらも資料に即して)把握することが可能になった。 さらに内容的な面でいえば、この年表は単に裁判所制度の確立過程だけでなく、司法警察や行刑制度(地方監獄等)の確立過程についても目配りしているので、捜査から起訴、公判、刑の執行に至る一連の司法過程の急速な整備過程を総体的に把握することが可能となっている。
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