本研究の目的は、人権の起源としての「信教の自由」説が妥当かどうかを歴史的に検証することである。検証の結果、以下の4点が明らかとなった。(1)「信教の自由」を人権の決定的な起源と見なすことはできないこと、(2)世界最古の人権規定であるヴァージニア「権利の章典」の法制化過程では、「信教の自由」条項が最後まで決着のつかなかったこと、(3)アメリカ諸州の「信教の自由」の名宛人は、全人民ではなく、プロテスタントであったこと、(4)アメリカの人権の起源という点では、信教の自由だけではなく、人民が武器を保持・携行する権利も考察対象とすべきことである。
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