本研究の初年度にあたる今年の課題は、国内での文献研究を中心に(1)現在のエネルギー法政策の問題点・原因を把握し、(2)新しい「分権循環型エルギー法政策」を具体化するための準備作業を行うことであった。実際に行ったことは、以下の通りである。第1に、日本における「新・国家エネルギー戦略」(2006年)、電気事業者による新エネルギーの利用に関する特別措置法(RPS法)」(2003年)に関する文献や資料を収集し、日本の核燃料サイクル政策にいかなる問題があり、また再生可能エネルギー政策がそれに代替しうる可能性があるか、そのための課題は何かについて検討した。特に、2010年3月24日に経済産業省のプロジェクトチームがまとめた再生可能エネルギーの全量買い取り制度の導入に向けての4案は重要であり、この案の検討は来年度以降の重要な課題となる。第2に、ドイツにおける電力の全面自由化(1998年)、「電力買取り法」(1991年)、「再生可能エネルギー優先法」(2000年)に関する文献や資料を収集し、日本よりも進んでいるドイツの再生可能エネルギー法政策は日本のエネルギー法政策にとってどの点で参考になるかという検討を行った。第3に、以上で述べた日本とドイツのエネルギー法政策の検討はなお中途ではあるが、法理論研究会において、エネルギー法政策における国・自治体間関係や自治体・住民の役割について報告をした。第4に、研究成果「市町村による土地区画整理事業決定の処分性」を発表した。エネルギー法政策を検討する場合、計画段階でどのような法的統制を行うかは重要な問題であり、この研究成果は本研究を進めるにあたり大きな手がかりとなる。
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