今年度も、まずは日・独国の『執政』『統治』作用関連の図書・文献の資料収集から始まりました。その結果、関連の最新図書を相当数入手することができました。さらに、やや古典的な文献の複写コピーをして、全体的な構想を確かにするための基礎文献をも獲得することができました。そのために必要な旅費、および文献複写・資料整理のための謝金を支出しました。これらの作業をもとに、目下資料の読破に努めております。 文献としては、これまで蓄積しているものについては、定年退職後特任教授に任じられて、さらに4月からは特命教授に任じられ、これらの文献を引き続き使用できるように、所属機関より配慮して頂いております。 従来の憲法学が民主制下での新しい統治組織論を展開できないできたこと、すなわち、「行政」を一方では「法律執行」に重ね合わせ、「法の支配」的要請が強調され、他方においては「行政」の機動的・弾力的な政策立案・実施が必ずしも「法律執行」には納まりきれないということが、いわば同時的に語られてきていて、この両者の整合的構成が図られて来なかったのです。 本研究は、かかる問題に対して、説得力ある理論的解明をすることに向けられています。具体的には、権力分立および他方議院内閣制の歴史性を認めつつ、その議論を、歴史性故に排除せずに、それらを整合的に構成することを目的としています。そこでは、純粋法学による批判をクリアしたうえで取り組むことが必要であるとの認識が重要でありました。その上で、目下とくにモンテスキューとバジョットとの関連を調和的に理解できるとの認識に達しています。
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