研究課題
本研究は、国会の最も重要な機能である立法に焦点を合わせ、共通の問題を抱えるフランスを中心とした比較憲法的・比較制度的視点からの分析によって、国会と立法が直面する諸課題に向き合うための理論的基礎を解明することを目的としている。2年目である22年度は、初年度の研究をふまえ、試論的な論文執筆に取りかかるとともに、国内外の研究会やシンポジウム等に参加し、実務家や内外の研究者と意見交換を行うことを予定していた。後述のように、立法・国会の役割について、3件の論文を公刊した。このうち「『議員立法』と閣法」は、21年度の公法学会における報告を活字化したものであり、日本における立法をめぐる近時の環境や規範構造の変化をふまえ、議員立法の再定位を試みたものである。「『饒舌な立法』と『一般意思』-フランスにおける立法と政治」は、上記の論文と対をなすもので、近時のフランスにおける立法をめぐる問題状況を、日本の問題状況を意識しつつ論じたものである。「立憲的統制と安保体制-外交・軍事と国会」では、外交・軍事をめぐる議会の役割の限界と可能性を、やはり日仏比較という視座の中で論じた。10月には、日仏会館における国際シンポジウムに参加し、「政治の優位と政官関係-官僚制と政治的法としての憲法」と題する報告を行った。国会をめぐる与件の変化をふまえつつ、官僚統制においても立法機能が重要な身を有していることを論じ、日仏の政治学者・行政学者と議論を行った。2011年1月には、来日していたフランスにおける議会法研究の第一者であるAlmel Le Divellec教授(パリ第二大学)と意見交換を行うことができた。また、同教授と共に参議院・国会図書館を訪問し、国会議員・議会実務家を交えた貴重な意見交換の機会をもつことができた。
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法律時報臨時増刊,安保改定50年-軍事同盟のない世界へ(民主主義科学者協会法律部会編)
ページ: 98-103
公法研究
巻: 72号 ページ: 100-111