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2011 年度 実績報告書

イギリス憲法学における「共和主義」

研究課題

研究課題/領域番号 21530026
研究機関信州大学

研究代表者

成澤 孝人  信州大学, 法曹法務研究科, 准教授 (40390075)

キーワード共和主義 / イギリス憲法学 / 立憲主義
研究概要

平成21年度に、本研究の成果の一部に基づいて、日本の裁判員制度と共和主義の関係の論稿を発表したが、本年度は、憲法理論研究会春季研究総会にて、同じテーマでコメンテーターを務める機会に恵まれた。その成果を、憲法理論叢書(19)『政治変動と憲法理論』において発表した。その結論は、共和主義と司法への市民参加には親和性があるが、共和主義における市民参加の目的は、市民としての法的地位の十分な保障およびその地位の回復にあるべきだというものである。
また、本題である「イギリス憲法学における『共和主義』」について、研究成果の一部をまとめる作業をおこない、『イギリス憲法と共和主義』と題して信州大学法学論集第19号に発表した。
本論文の意義としては、まず、(1)「共和主義」には、自治を強調する「新アテネ主義」と非従属を強調する「新ローマ主義」の二つの流れがあること、(2)新アテネ主義の立場をつきつめるならば、パターナリズムと卓越主義に陥ってしまう危険性があること、(3)それにもかかわらず、両者の差異を強調しすぎるならば、「共和主義」としての思想的特徴が失われてしまうこと、を指摘して、共和主義の思想内容を明確にしたことがあげられる。
次に、イギリス憲法学における現代的なイシューである「政治的憲法論」と「法的憲法論」の対立において、「政治的憲法論」の正当化根拠の一つとして、「共和主義」が注目されていることを示したことである。論文においては、歴史的な視点から、国会を共和主義的自由を保障する機関と位置づけるA.トムキンスの見解と、裁判所の違憲審査制が共和主義的自由=非従属の自由に反することを政治哲学の観点から指摘し、通常の政党政治に基づく議会制民主主義こそが非従属の自由の保障に適していることを示したR.ベラミーの見解を詳しく検討した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 共和主義とイギリス憲法2012

    • 著者名/発表者名
      成澤孝人
    • 雑誌名

      信州大学法学論集

      巻: 19 ページ: 83-150

    • URL

      http://hdl.handle.net/10091/15670

  • [学会発表] 刑事的正義と共和主義2011

    • 著者名/発表者名
      成澤孝人
    • 学会等名
      憲法理論研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-05-15
  • [図書] 政治変動と憲法理論2011

    • 著者名/発表者名
      高見勝利、奥田喜道、曽我部真裕、本秀紀、岡田信弘、高橋雅人、大江洋、徳永貴志、今関源成、石塚伸一、渡邊弘、成澤孝人、柳瀬昇、船尾徹、石村修、白水隆、中富公一、山村晋、毛利透、藤井樹也
    • 総ページ数
      167-173
    • 出版者
      敬文堂

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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