人権保障実施過程上の「社会的なもの」の役割の日米と仏における主な相違は次の点である。日米、特に日本の社会保障制度においては保護実施機関が極めて拒否的態度をとるため、法律家・民間団体など「社会的なもの」が生活保護の申請支援など権利保障手続において重要な役割を果たしており、「公的なもの」と「社会的なもの」との対抗が見られるのに対し、仏においては、権利保障過程において、特に受給資格や投票資格として機能している「住所」確保策を典型として、行政が法律家・民間団体と連携している例が多く見られ、「社会的なもの」と「公的なもの」との交差が一つの特徴である。
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