研究概要 |
環境国家の法構造を法治国家の視角から解明することを目的とする本研究において、本年度は、基礎的文献の収集及びその分析、関係者へのインタヴュー及び共同討議に重点を置いて研究を進めた。 幸い、10月から約5ヶ月間、ベルリン自由大学で共同研究をする機会に恵まれたため、法治国家論の権威であるフィリップ・クーニッヒ教授や環境国家論の権威であるクリスティアン・カリース教授と交流し、意見交換することができた。クーニッヒ教授とは共同で基本権に関する研究を進め、その成果はベルリン自由大学における講演の形で発表した(いずれ公刊される)。この講演の直接のテーマは、法治国家論の基本的問題である自由と安全の緊張関係を扱っている。また、カリース教授とは、来年から共同で「予防原則」に関する研究に着手する約束をした。 基礎的文献だと見なしていたR.Steinberg, Der okologische Verfassungsstaat,1998及びCh.Calliess, Rechtsstaat und Umweltstaat,2001を通読し、環境国家と法治国家の関連性を検討すると同時に、新たにCh.Mollers, Die drei Gewaltenによって、法治国家と民主制の関連性にも着眼する必要性を感じた。同書をきっかけに、フンボルト大学のメラース教授とのコンタクトも取れたので、次年度以降は、メラース教授の理論も摂取しながら考察を深める予定でいる。
|