本研究は、中国行政法(学)の生成と発展の過程における日本法の受容を明らかにしようとするものである。具体的には、まず、時と国を軸に、(1)清朝末期、(2)中華民国時代、(3)現代中国とに分けて、中国行政法学における日本法受容の歴史を、順次解明していく。次に、上記の作業を踏まえつつ、日本法が一体いつどのようにいかなる影響を中国行政法学のどの部分に与えていた(る)のかを理論分析する。最後に、理論分析の結果を背景としながら、両国行政法学の今後を展望する。 上記のような研究構想に基づき、平成21年度では、予定通りに、主として、調査と資料収集に努めた。その成果は、次の点に要約できる。 (1) 中国語の文献・資料について本研究は膨大な資料を収集することが必要であるため、今年度において、上海交通大学等(4月24日-5月5日)、遼陽市図書館や中央財経大学等(8月8日-21日)、上海書城等(11月21日-24日)、大連新華書店等(平成22年3月25日-30日)を訪れて、資料収集を行った。同時に、学内の研究助成などを生かして香港大学等も訪問した。その結果、本研究を遂行させていく上で、収集しなければならないと思われる中国語文献(582点)のうち、300点前後が入手できた。 (2) 日本語文献・資料について経費を節約するため、まずは、本学及び他大学の図書館等を積極的に利用し資料収集を行った。北海道大学等(8月25日-28日)、京都大学等(10月9日-12日)などである。次に、学内の研究経費を活用し、広島大学(12月19日)、九州大学(12月20日)、小樽商科大学(平成22年2月12日-15日)をも訪れた。最後に、どうしても買わなければならないと思われる資料については、地元の本屋さん(文栄堂)を通して調達した。 (3) 今後の課題本研究に必要な文献・資料は数量が多いほか、所在も極めて分散している。また、周知のように最近中国では本代が非常に高騰している。なお、清朝末期から民国時代にかけての資料は、所蔵が分散する(中国大陸各大学・研究所、台湾や香港及びアメリカ等に)のみならず、いずれの所蔵先においてもいわゆる「貴重資料」とされており、入手しにくくなっている。今後は、研究協力者を通して入手するように頑張りたいと思う。
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