本研究は、中国行政法(学)の生成と発展の過程における日本法の受容を明らかにしようとするものである。具体的には、まず、時と国を軸に、(1)清朝末期、(2)中華民国時代、(3)現代中国とに分けて、中国行政法学における日本法受容の歴史を、順次解明していく。次に、上記の作業を踏まえつつ、日本法が一体いつどのようにいかなる影響を中国行政法学のどの部分に与えていた(る)のかを理論分析する。最後に、理論分析の結果を背景としながら、両国行政法学の今後を展望する。 上記のような研究構想に基づき、平成22年度では、予定通りに、主として、資料解読と理論分析を中心に研究を展開した。具体的には、二つの方向から着手している。 まず、時を軸に、(1)清朝末期、(2)中華民国時代、(3)現代中国との三つの時代に分けて調査結果や収集した資料の整理・分析を行う。 次に、国を軸に、日中両国における本研究テーマに関連する著書、論文、判例等文献の整理・分析を行う。 閲覧した主要文献は、次の通りである。 『晩清改革与社会変遷[上]、[下]』、『剣橋中国晩清史』、『20世紀中国政治改革風潮』、唐徳剛『晩清70年[1]-[5]』、小口彦太ほか『現代中国法』、西村幸次郎編著『グローバル化のなかの現代中国法[補正版]』、瀧川政次郎『日本法制史[上]、[下]』、尾形勇ほか『日本にとって中国とは何か』、張勇『中国行政法の生成と発展-日本法との比較の視点から見る』、水林彪編著『東アジア法研究の現状と将来-伝統的法文化と近代法の継受』、李甲孚『中国法制史』、西村幸次郎編『現代中国法講義[第三版]』、荊知仁『中国立憲史』、土屋英雄編著『中国の人権と法』、『新編原典中国近代思想史(岩波書店、2010年)1-3巻』、川島真『近代国家への模索1894-1925』、林大ほか『法と日本語』等である。
|