研究概要 |
本研究は、多様な手法を駆使して行われる現代行政の特質に適合し、かつ、国民に包括的で実効的な権利保護を保障しうるような、新たな行政訴訟体系を構築することを目的とするものであり、解釈論的検討、立法論的検討、比較法的検討の3つの柱からなる。 解釈論的検討の成果としては、まず、上記改正によって活用が提唱された公法上の確認訴訟について裁判例を検討し、その要件を解明した(「公法上の確認訴訟の適法要件」高木光他編・阿部泰隆先生古稀記念・行政法学の未来に向けて(有斐閣、2012年4月)733~752頁)。同改正によって拡大が求められた原告適格についても、最高裁判例に関する批判的な検討を行った(「原告適格拡大の意義と限界」論究ジュリスト3号(2012年11月)102~108頁)。本案審理に関しては、近年積極的に行われている判断過程審査について、包括的な検討を行った(「判断過程審査の現状と課題」法律時報85巻2号(2013年2月)10~16頁)。 立法論的検討については現在とりまとめを行っており、近日中にその成果を公表する予定である。 比較法的検討については、日本とフランスの個人情報保護制度を比較し、救済手段に関する相違等を指摘した研究を日仏共同研究集会で発表し、その成果をフランス語で公表した(La protection des donnees personnelles en droit public japonais, in: B. Fauvarque-Cosson et Y. Ito (dir.), L'information: VIIIe Journees juridiques franco-japonaises, Societe de Legislation Comparee, mai 2012, pp. 69-94)。
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