平成21年度の研究目標は「研究史料の収集及び分析の開始」であり、その具体的な研究実施計画として以下の四つを取り上げたので、この実績を報告する。一、「日本の学者の著作に対する分析の開始」:西周助(訳述)『官版萬国公法』(1868)、箕作麟祥(訳)『国際法一名萬国公法』(1875)、中村進午(著)『国際公法論』(1897)などの著作を中心に、既に分析を行っている。二、「中国に輸入された日本の『国際法学』の史料に対する収集」:中国国家図書館の中文図書基蔵庫、書刊保存本庫、古籍館普通古籍閲覧室を中心として収集を行い、とても貴重な約30冊の書籍を手に入れた。この中には、今まで知られていない著作も幾つか入っている。三、「『国際公法志』(韓、1907)の日、中の原典の収集」:蔡鍔の『国際公法志』(中、1903)を手に入れ、『国際公法志』(韓、1907)と対照してみたら、予想通り、後者は前者の翻訳であった。それだけでなく、これらの原典である『公法導源』(1898)も見つけた。現在、これらの著作が日本のどの著作と如何につながっているのか分析している。四、「(韓)石鎭衡(著)『平時国際公法』(1907)など韓国の史料(著作)の収集」:これも運良く手に入れるのに成功した。これ以外にも貴重な幾つかの著作や史料を収集し、現在分析を行っている。 今年は、近代東アジアにおける『国際法学』の形成とその過程における日本の貢献を把握するにあったてとても重要な幾つかの著作を手に入れることができ、もともとの計画とおり研究は進んでいる。最後に、以下のような二つの実績を追加したい。一つは、韓国の著名な学者の金容九教授の著作である『萬国公法』(2008)についての書評(韓、40頁)であり、もう一つは、シンガポール国立大学で行われた報告(2010年3月12日、英)である。これらの二つには、上記した研究実績の内容が多く含まれている。
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