平成23年度の研究目標は「研究のまとめ及び評価」であり、その具体的な内容は以下の通りである。(一)「史料収集の継続」:最初から想定した彙を遥かに超える膨大な資料が確認されたので、今年も引き続き史料の収集に最善を尽くした。今年は主に中国の上海図詐館、韓国の国会図書館などを中心に行われ、多くの貴重な史料を手に入れることができた(集めた史料の具体的な内容については「出張報告書」を参照)。(二)「研究のまとめ及び研究実績の確認」:今年の研究をまとめるうちに、もともと目標としていた「研究実績」は既に十分に達成されたことが確認された。例えば、1900年~1910年間に日本の著作70部以上が中国に集中的に伝来されることにより、当時の中国の用語が日本の用語に殆ど代替されたこと、中国に対する日本の影響は1898年には既に始まったこと、1910年以前に韓国で出版された四冊の著作全てが日本の著作をそのまま翻訳又は編著したり、或は日本の影響を深く受けたこと、などを実証的に立証するための具体的な証拠を確保することができた。(三)「現代東アジアの『国際法学』の概念・用語の対照及び整理」:現在、分析の最終段階であり、本研究の「最終報告書」の提出までは、日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮を中心に整理することができると思われる。(四)「シンポジウムの開催」:もともとは平成23年度に国際「シンポジウム」を開催する計画だったが、研究計画書の提出の段階で想定していた量を遥かに超える膨大な資料を収集しなければならなかったので(それ故、殆どの研究費を史料収集に当てはめたため)、残念ながらシンポジウムを開催する余力は無かった。(五)「対外発信の準備」:これから研究をまとめて本格的に「対外発信」を行うつもりである。特に、中国語、韓国語による「東アジアへの発信」だけでなく、英語による「世界への発信」も同時に行う計画である。
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