研究概要 |
まず、東アジアにおける日本を取り巻く海洋法関連の状況として、沖ノ鳥島をめぐる日中間の考えの対立について考察し、下欄の論文(単著)を執筆した。また、本研究に幅と厚みを持たせるべく、新たに地政学(geopolitics)の視点からの検討を勘案した一環として、英文書評('Geopolitics and Maritime Territorial Disputes in East Asia,by Ralf Emmers,Routledge,London and New York,2010,ISBN 978-0-415-46942-5(hard cover)')を発表し、本研究と書評文献との連関についても若干の言及を行っている。 出張・調査として、オーストラリア・シドニー大学ロースクール・同図書館と中国・香港大学法学部・同図書館等において、関係者との意見交換や資料収集などを行っており、これらの成果の一部は、上述した論文にも反映されている。 以上より、(1)予定していた日中関係についての具体的な事例を扱うことができ、その考察と論文執筆を行うことができ、(2)国連海洋法条約(UNCLOS)の紛争解決手続についての具体的考察を行い、実体法規だけでなく、手続規定についての検討を行うことができたし、(3)今後は東アジアを中心にした隣国と我が国との海洋法戦略に関わる考察を深めていくことにつなげることが可能となろう。 なお、外務省国際法局海洋室の海洋政策研究会の委員として、「国連海洋法条約下の紛争解決手続(沖ノ鳥島に関連したあり得べき事例に備えて)」と題する報告書も執筆し、関連する口頭報告も行っている。
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