前年に続き、雇用対策法や地域雇用開発促進法等、雇用創出に関する法制度を地域労働市場の下部構造まで含めて調査分析を進めた。これら法制度の立法過程分析や下部規定等の調査および参照作業に平行して、各地方自治体等の作成提出した「地域雇用創出計画」や「自発雇用創造地域」の事業計画を手掛かりに、近時の雇用創出の契機と展開を、本来需要型、計画助成型、代替試行型といった分類を通じて、当事者への刺激・誘発、インセンティブ付与、助成の各相関の実態を整理した。特に岩手県や盛岡市の雇用創出事業担当者らと密なヒアリングを重ね、セカンダリーな背後事情を含めた雇用創出の実態調査を進めることが出来た。 研究代表者の研究機関変更により、計画当初の取材調査対象にも変更が生じた。また諸外国の雇用創出プログラムについては資料収集にとどまり、具体的な実態調査に及ばなかった。また東日本の沿岸部震災被害により、具体的実像を追考証するための作業として、職業能力技術開発校や民間事業者の就業セミナー等のサンプリングに一部支障が生じた。しかし上記の調査分析結果をもとに、求人=雇用情勢に親和的な支援に取り組む行政、事業者、学校等の技法を探究し、支援の法理論モデルの構築に一応の見通しを立て、これを次年度以降の研究課題(「雇用対策事業を有効具体化する法技術-地域<雇用実現の法>を構築する-」文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C))課題番号:24530062)へと架橋するほか、関連する非正規雇用の創出事業者の雇用維持責任に関する裁判例の評釈論文を作成した。
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